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ワイン流通ストレス理論:後編  〜ワインセラーとは〜

 

前編ではワインのコンディションについて記述してみました。

後編からはワインセラーとはなんぞや

 

当店では採算を削ってでも「ワインセラーを一家に一台」を目標に据えて一人でも多くの方がセラーオーナーになっていただくために「ワインセラー導入サポートプログラムを実施しております。

 

ではなぜワインセラーが必要なのでしょうか。

 

■まずワインセラーについて

 

ワインの専門店に行くとたいていはショップの一部区画が仕切られており、空調が管理されたいわゆる ”ウォークインセラー” になってるのが一般的です。

 

当店の場合は年間通して16〜19度くらいに設定されており湿度は冬場など乾燥する時期に調整しています。

空調機は天井にビルトインされているタイプで、筐体はどこでも見かけるタイプですが機能はまったく別物の「中温度帯」専用機で12度近くまで下げるスペックがあり、通常リビングなどで使用される機器とはまったく異なる性能を持っています。

 

基本、空調は365日24時間回しっぱなしです。

 

セラー内の照明はLEDで熱を発しにくいタイプ、営業時間外は消灯しています。

 

電気代はセラーだけで一ヶ月で12.000〜15.000円くらいかかります。

 

:セラーのある環境とは。

 

低い温度下にある

一定の湿度を保っている

冷暗所である

振動や騒音の少ない静かな空間

 

大まかにいうとこんな感じです。

 

ようは地下洞窟みたいなイメージです。

 

上記のような環境下で置かれてないワインは推奨しません。

 

と、いうことは?

 

と疑問がわきます。

 

百貨店やコンビニ、スーパーのワイン売り場ってどうよっ?

 

他にもむかーしからある酒屋さんとかは温度管理の概念がそもそも無い時代なので基本常温です。

 

↑ この陳列ですと、たとえば商品が1 〜 2ヶ月程度で売り切って在庫が回っているとするならギリギリ許容の範囲かと考えます。

 

それが商品の回転が悪く1年以上も陳列棚に置かれたままだとするなら。

それはダメージワインとして商品価値は著しく損なわれていると言っていいです。

 

温度の影響を優先されがちですが、照明による劣化もあります。

なぜワインのボトルが濃い色に覆われているのかを考えれば光にも弱いということは察しがつきます。

 

■ワインセラー購入のメリット

 

:置き場所がはっきりする

これまでは冷蔵庫、納戸、床下収納などに避難していて家人に迷惑がられていましたがこれで安心です。

 

:夏場でもワインを購入できる

どうしても暑い時期にワインを買うのは躊躇します。

セラーがあればもう安心。

 

:記念日のワインを買っておける

人生節目のヴィンテージやご家族のバースデーヴィンテージをストックしておける。

 

:充実の「おうち時間」を過ごす

もはや家飲みの時代。  お取り寄せの食事とセラーのワインで豊かな生活が約束されます。

 

:まとめ買いしておける

ケース購入しておいて酒質が落ち着くまでゆっくり保管しておく。

 

■あまり推奨しないワインセラー

 

Amazo◯などで販売されている機種、大手家電量販店で陳列されているものなど多数ありますが「やけに安価なセラー」はそれなりに安い理由があります。

 

・消費電力が大きい

・ファンが煩い

・アフターフォローが危うい

 

上記のようなケースは購入して使ってみないとわからないポイントなのでネットの画面上だけだと購入に決めてを引き出すには難しいかもしれませんね。

 

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適正に輸入されたワイン専門インポーターの商品を

まっとうなワインショップから購入する。 

 

その大切な一本をぜひホームセラーで管理しておきましょう。

確かに安い買い物ではないのですが、ほぼ一生ものと言っていいロングライフな機器ですので置き場所や機種選びを間違わなければけして高い出費にはならないはずです。

 

統括:

 

ワインセラーはけして「魔法の箱」ではありません。

セラーに入れておくだけでまずいワインが美味しく変わる機能はありません。

その定温管理された空間で「ワインを休ませる」ための場所。

 

遥か異国からの長旅を終えたワインは疲労困憊です。

現地を出たときのコンディションに戻るのには数ヶ月以上かかると言われています。

 

熟成させること以上にコンディションを整えるための時間をワインに与える、その時間をオーナー様とともに過ごすことがホームセラーを所有することだと考えます。

 

長文にお付き合いいただきましてありがとうございました。